5)クーラント液の日常管理について
クーラント液の管理で現場サイドにおいて、必ず実行し習慣にして頂きたい点検事項は濃度とPHの2点です。
- 濃度管理
油剤の性能を十分に活用するには、規定の濃度を維持させる必要がある。加工方法、被削材により異なりますが通常は3〜10%程と思います。
- PH管理
油剤の劣化防止の目安であり、被削材と加工機のサビ発生防止の為、チェックは必須です。 一般的にクーラント液のPHは新油時で9以上です。
劣化が始まると低下しますが、PH8.5以上で管理するのが理想的です。PH8以下になるとバクテリアが増殖し腐敗状態になります。
以上の2点以外に劣化防止策として必要なことは、それらの原因であるバクテリア類のチェックです。
特に悪臭の源となる嫌気性バクテリア菌《酸素が多くあるところでは増殖が鈍く、酸素が減少すると活発になる菌》の計測です。しかし、現場ですぐに計測はできないので必要に応じて分析業者に依頼することになりますが、費用と時間が掛かり大変です。
それに代って判断できる方法がクーラント液中の酸素濃度の計測です。
- 溶存酸素(DO)のチェック
DO計(溶存酸素計)があれば現場ですぐ計測できます。
機械稼動中の場合、健全なクーラントは5〜10r/ℓくらいの数値ですが、5r/ℓ以下になったら要注意、3r/ℓ以下になると嫌気性菌が急増し悪臭が漂い腐敗状態になります。
溶存酸素は水温、油温が高くなると溶け込みにくくなる性質を持っているので夏場にクーラント液が腐り易くなる要因です。
以上の点から考慮してみるとクーラント液管理の基準値が見えてきます。
日常管理の基準値は |
P H |
H8.5以上 |
溶 存 酸 素 |
5r/ℓ |
濃 度 |
3〜10% (各々で規定濃度を決定) |
この3点チェックでクーラント液の劣化度判断は出来ますが、必要があれば嫌気性培養菌数の計測を分析業者に依頼してください。
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